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見出し あめかぜ日記、時々晴

雨水の循環(排水を含めて)を考えるvol.2~高低差をつける編

お庭を考える上で気になるポイントの一つとして、「地面がじゅくじゅくしないようにしたい」とか「雨が降ると水浸しになる」など主に排水面での課題を相談されることも少なくありません。

あまがえるのお庭や外構計画では、「排水」だけをクリヤするための方法を個別に考えることはせず、全体の計画の中でいろんな要素と「セットで」その点について検討するようにしています。

前回、自然界の中においては、植物の力で雨水の量が調整されていることを書かせていただきました。今回は、お庭の中においても、植物が持つ「雨水の調整機能」を前提に、「排水」することを含めた「雨水を循環」についてを考えたいと思います。

自然界では、高木から地面を覆う草花までが、階層状になって「傘の役割」を担い、全ての雨水が地表に到達しないように調整されています。そのことを参考に、お庭に植物を植える場合も、高木の下には低木、その下には草類、地表にはグランドカバー(芝など)という様に、階層的に植物を配置するようにしています。

そのように立面的には階層的な植え方を意識する一方、平面的には、一つ一つの植栽エリアの面積を可能な限り広く取り、面的な広がりや繋がりのある植栽エリアになるようプランします。

外構や造園のトータルのプランニングにおいて、どこに、どの程度、どのように植栽エリアを盛り込むか。それによって、平面的な植物の広がりが出来たかどうかが問われます。その盛り込み方については、色々と検討すべきことがありますので、今回は割愛し、次の機会にまた植栽プラン編として、あまがえるの考え方を書いてみたいと思います。

今回は、プランニングの中で、うまくレイアウトができたという前提で話を進めさせていただきます。^_^そこで、次に「植物の力を引き出すこと」、「排水や雨水を循環させること」のどちらにも効果的な、「植栽エリアに高低差をつける」手法を紹介させて貰いたいと思います。

上の写真の中の、こんもりと土が盛り上がっている部分が植物を植える場所で、それ以外の平たく見えるところは、芝生の広場(野原エリア)や回遊するための園路になるところです。

宅地として造成されている敷地は、多くの場合地面は固く締められているので、そのままの状態では、植物が元気よく育ちにくいと言えます。あまがえるの工事においては、まず植栽部分の土を重機など使って耕し、周囲には溝を掘って、その土も盛り上げるために使い、写真のように「かまぼこ状」にこんもりした植栽エリアづくりをします。そして、こんもりさせたエリアの一つ一つは、可能な限り面的に広がりとつながりがあり、一つ一つの「島」に複数の植物が植えられるようにしています。

雨水循環を含め、自然環境の調整を植物の力に頼るために、植栽エリアの「島」一つ一つをなるだけ広く取ることは、ひいては植物たちが元気よく育つことにもつながっています。可能な限り広く取れば取るほど、植物は根を広く伸ばすことができるからです。

また、写真のように、高く盛って周りを溝にしている植栽エリアは、畑のように水がはけ土の中に空気も入り込みやすくなっているので、そのことも根張りをよくすることにつながっています。

私たちの経験上、一つ一つの植物が元気に育てば、植栽が全体として、相乗的に元気よく育ってくれるようになると感じています。そうなると、それぞれの木の枝葉は広がりを見せ、雨水を受け止め、根からは活発に水を吸い上げて、葉からの蒸散も盛んになるでしょう。つまり、植物の雨水調整機能が高くなるというわけです。

そして、高低差をつけるために植栽エリアの周囲に配した溝は、平たい部分(芝生エリアや園路部分)の水の出口にもなりますので、自ずと平たい部分をじゅくじゅくさせないような効果ももつのです。

あまがえるでは、芝生は、草丈を低く刈り込まず、少々高めにおいておくことも、おすすめしています。芝の葉の(雨水を受け止める)面積を広げることにつながると考えられるからです。

芝の葉が、雨水の地中に染み込む量を調整し、やはり根からの吸い上げと葉からの蒸散を盛んにし、植栽エリア周囲の溝(芝生エリアの周囲の溝にもなっている)に土の中の水が出ていくことでも、やはり平たい部分の排水問題の解決にも役立っているといえます。

このように、「植物の力」を存分に発揮してもらうようなお庭づくりは、お庭の中の「雨水循環と排水の調整」を生物的な面においても、物理的にも、お互いに作用しながら相乗的に行なってくれていることがお分かりいただけましたでしょうか?

次回は、今回後回しにした、植栽エリアのレイアウトについて書かせていただきたいと思います。

(下の写真は1枚目が施工中、2枚目が施工後3年経った様子で、3枚目がさらに3年経った時の様子です。植物が環境を変化させていく事例です。)