11月6日にほぼ完成した(8日に下草を植えますが)お庭についてです。
施工前の様子をまずはご覧くださいませ。
こんな感じでした。白く見えるのは砂利。全体的に平面的な印象です。
つくばいや飛び石に灯篭、木々もマツとかスギなど和風のお庭です。
中古のお家に引っ越しされてから間もないタイミングでの依頼。
引っ越しされた時に工務店の方にお庭の相談をされた際には、
全ての木々や石を撤去して
人工芝を敷いてはどうかという提案もあったとおっしゃいました。
あまがえるとしては、まず既存の木々は全て残すという、真逆の発想をご説明しました。
あまがえるの方針として、
普段私たちがお庭造りにあまり使わない木々、例えばマツやマキ、あるいはオリーブやユーカリなどであっても、すでにそこにある場合は残す前提でプランを考え始めます。
なぜなら、そこで生きてきた植物には一定の風格も備わり、作り直す風景にも
溶け込んでくれることが少なくないと考えるからです。
まずは、平たく作られた「地形」を作り直します。
そして、石などの配置換えも同時に行なっていきます。
植物が元気に育つように、平たい地面に起伏をつけて行くイメージ。
石などは、動線が良くなるように、そして、もちろん風景にマッチするように位置を考え直します。
そうすれば、自ずと植物との組み合わせ方も定まってきます。
意味がありそうで、なさそうに見えた石の並び方を変えて、芝生の広場にある腰掛のように
配置します。
ツツジなども丸く刈り込まれている姿ではなく、下枝などを剪定し
今後は枝を上に伸ばして行くような、伸びやかな姿で育てていける形に変えてしまいます。
ツクバイもできれば暮らしの中に溶け込ませたいと考えます。
お茶の会をしなくても、水を張って鳥が来る場所と考えてみてはどうでしょう。
秋の夕べに、灯篭に庭用のキャンドルを灯し、石の腰掛でぼーっとした時間を過ごしてみては。
形骸化していたものに命を吹き込むことができればいいなと考えます。
最後に、新たに植える木々を加えていきます。
このお庭は料理家でアーティストの小宇宙食堂リンシエさんのお庭。
そこで料理にも使えるような木々を植えました。ナツメにスダチ、ジューンベリー
ブルーベリーにスモモ。和のテイスト感があるお庭にも決して合わなくないと思っています。
そして、リノベーションが終了。
来春以降、植物が育ち始めていけば、ますますみずみずしいお庭になると考えます。
人工芝は劣化するだけですが、生きている植物は年々美しさを増していってくれます。
そして、あるものをすべて使えば、環境にも優しく、もちろん経済的にも優しい。
これで、石も植物もまた次の世代に受け継いでいくことができますね。