このところの梅雨の雨の降り方は、本当に怖いくらいの降り方です。
台風の季節も、同様に降水量が多くなりそうという予報を聞くと、恐怖感を感じるように
なってきて、暮らし方そのものを考え直すことが必要という学者もいるくらいです。
そんな中、お庭や外の空間を考える仕事をしている私たちとしては、たくさん降る雨の勢いを少しでも
柔らかくすることを考えたくなります。
それができるとすれば、「雨の水を少しでも貯める場所を作る」「排水溝などに一気に流すのではなく、地中に浸透する場所を作る」
「植物が覆う場所を増やして、葉っぱで一旦水を受けてもらう。」ということが考えられます。
三番目を補足すると、葉っぱで受けた水が少しづつ幹を伝って地面に染み込んでくれる効果と、葉っぱに残った水が地面に届くことなく
蒸発することで、地中に届く水の量を減らす効果をもたらすことです。
街の緑空間はグリーンインフラと呼ばれ、降水量の被害への対策として利用すべきだという考えも、いろんな場所で
聞かれるようになってきました。
では、個人のお庭でできることもあるのかな?
例えば、雨樋から落ちてくる雨水を一旦水鉢などに貯めることも、対策になると思っています。
写真のような陶器製や石製の鉢で一旦水を受け、溢れてくる水が染み込む場所を作ってやると風景にもなります。
例えば、小さな流れを作るのも一つです。雨が降っていなければ、枯れている「枯れ流れ」。ふれば、水が通る道になります。
あるいは、雨水排水を引っ張り込んで、小さな池を作ると、もっと変化のある風景になります。
一つ目はイネを植えて、小さな田んぼにしています。収穫はお正月のお飾りに使っていらっしゃるとか。
二つ目の池には、歩いて行ける場所にいるメダカと藻を少しいただいてきて、住んでもらっています。ゲンゴロウなども
知らぬ間に住んでくれているとか。
この池二つも、雨が降ると、雨樋から水が流れ込み、一旦水を貯める効果があります。
そして、溢れてから地中にじわじわ染み込む場所として、「枯れ流れ」を作っています。(普段は水が流れていません)
写真が枯れ流れです。雨がオーバフローしても、染み込む場所なので、あまり流れている感じは
見られない場所となってくれています。底はあえて、水が通さない仕上げ方をしていないからです。
こうゆう場所を作れば、生き物を接する癒しの場所となること(子供さんが必ず喜びます)、植えている植物を元気にする効果、
夏の気温を和らげる効果、などなど、様々な効果も望めます。
工事の際には掘った土を植栽の場所に使えるので、客土する必要もなくなります。それも、他の場所の土を持ち込まないですむ
という環境配慮の効果が考えられます。
このような場所は、一つ一つは小さな点のような場所ですが、増えていけば点が線や面的に広がり、地域の環境にも影響を与える
ことができると考えています。一つの小さな場所からネットワーク化することが、必ずできますので、まずは、雨樋をタンクでためて
植物に水をやることから始めてみませんか?
(あまがえる)