変化する庭。(庭にも「遷移」の考え方を)

自然環境の用語に、「遷移」(せんい)という言葉があります。
とっても、簡単に申しますと、ある場所に生育している草や樹木の種類が、年々変わっていくということを表す言葉です。

年々って、どれくらいかと申しますと、短いスパンなら数年、数十年、
そして百年、千年、万年、それよりもっと長~い時間の場合もあるでしょうか。

もともと、草原だったところが、いずれ森林に変わっていくというイメージを持ってもらってもいいかと思います。
(自然界は複雑なので、もっともっといろんな移り変わりがありますが、ここでは割愛いたします。)

今の時代、自然環境を守らないといけない、という意識が高くなってきていますが
「遷移」という考え方、見方を通して、自然環境を守る考え方を「大胆に」二つに分けると、
「遷移を止める」という守り方もあれば、その逆に「遷移を止めない」という守り方もあるのだそうです。

里山環境を保全するのは、前者の「遷移」を止める方で、           原生林を保全するのは後者の「遷移」を止めない方ということになるのだとか。

難しい話になって恐縮です。
今回のブログでは、この「遷移」についての見方を、庭との付き合い方にも取り入れてみたらいいのではないか、という話をしたいと思います。(あくまでも色々あるうちの一つの考え方です)


これは、あまがえるが施工させていただいたお庭の造成地当時の写真です。家を建てる前の状態なので、もちろん庭の工事もされていません。

そして、施工直後の様子がこちらです。
随分と表情が変わりました。緑や自然石も入って、瑞々しい感じになりました。
さらに、一年経ってみると、緑の量が一気に増えた感じですね。これは植栽として植えたものが、大きく育ったからではなく、
いわゆる「雑草」が茂ったから緑量が増えたと言ってもいいかと思います。

この時点で、多くの方々が、「雑草が生えすぎてきたので、除去しないといけないのでは」という風に考えると思われます。
しかしながら、あまがえる としては、常日頃から草は残しておくことをお勧めしています。
なぜなら、勝手に生えてくる草の効用は沢山あると考えているからです。その効用の話は、今はちょっと横に置いといて
今回のテーマの「遷移」(せんい)に沿ってお話を続けます。

この写真のお庭についても、できる限り草刈りを強くしないで残せるものは残せたらと、住まわれるご家族とお話ししています。

もし草刈りを強くしないで、残せるものは残しておくと、どうなっていくのでしょうか?
あくまでも、予想ではありますが、
①生えてくる草が変わってくる。
②草だけではなく、数は少ないが樹木も勝手に生えてくる。
ということが、起きると考えられます。

つまり、冒頭の自然界の「遷移」の様な現象が、この場所においても起きてくると想像できるのです。

え、じゃあ、最初に作った庭が、維持できなくなるってことなのかな。
植えた植物も負けてしまうのかな。

って、心配になる方もいらっしゃるかも。実際には、全て様子が変わってしまったり、植えた植物が全て負けてしまうことは考えにくいですが、逆に仮にそうなったとして考えてみましょう。
もし、最初に植えた庭の木々や草が、後から勝手に生えてくる植物に負けてしまって無くなったとしても、最初に作った庭や、最初に植えた植物に重きを置いて考える場合は、確かにそれがなくなることは、マイナスに感じてしまいます。

ですが、ここで少し発想を変えてみたいと、あまがえる は考えています。
最初に作った庭の形が少し変わったり、植えた植物が自然に生えてくる植物と競争して負けてしまっても、もし、地域にもともと自生している植物が敷地内に増えたなら、それは、地域の環境にとって大きなプラスをもたらすと考えたいのです。

地域の気候風土にあった植物が、まちの緑、それぞれのおうちのお庭の緑の
主な木々になったら、おそらく、その地域にやってくる鳥や虫などが
安心して過ごせる場所が増えると考えられます。

今の都市部の様に、コンクリートの構造物だらけで、量的にも少ない緑がその地域由来のものでなかったなら、もともとそこに訪れ、住み着いてくれるトンボやチョウ、小さな鳥などの数はどんどん減ってゆかざるを得ません。

では、都市の周辺の田舎の自然を守っていけばいいのでは、という考えも出てくるかと思います。ですが、まちの周辺の自然界を守るだけでは、そういった野生の小さな生き物を守ることはできないと言われています。周辺の自然界どおしをつなぐ様に、街中の土や植物も含めたネットワークにならないと
小さな生き物はどんどんいなくなり、やがて、そのことが自然界のバランスを崩すことにつながり、回り回って、私たち人の暮らしの基盤を揺るがすことになると言われているのです。

ちょっと大げさになってきたと感じられるかもしれませんが、
今年もひどい夏の暑さ、梅雨時期の豪雨災害、そして新型ウイルスの感染など
自然界にいろんな心配事が続いて起きています。
それは、身近な小さな生態系ですら崩れてきているところから起きてきているかもしれないと、想像を膨らませたいと考えます。

お庭という空間を、一番身近な、人が守るべき小さな生態系と考えてみても
いいのかな。と思っていただけたら、とっても嬉しいです。

さて、最後に、もし、遷移をお庭に取り入れ地域の木々主体の庭に変わって、林の様になったら、本当にどうなるのだろうとご心配が深まってる方がいらっしゃったらいけないので、それに対してもあまがえるの考えを書いておきたいと思います。もしそうなったら、冒頭で触れた様にかつての里山と同様、ある段階になれば、その「遷移を止める」という付き合い方に変えればいいと思っています。
つまり、地域性の植物が主な構成樹種になり、林の様になりそうになったら、
その段階で、庭のキャパシティに合わせて、大きく太くなりすぎないように、地際から幹を切ってしまって、薪ストーブやバーベキューの燃料にするなど暮らしの資源にしてしまったらいいのではないかと思います。。
切った後からは、また若いひこばえが生えてきて5年もすれば
背丈をゆうに超えてくれるでしょう。その後、10年スパンくらいで同様のことを行えば、いつまでも昔の里山の様に維持していけると考えます。

そうなれば、もう庭という感じじゃなくなってきますね。
次の世代にもつなげていける、「一番身近な里山空間」って感じでしょうか。(笑)

小さな苗木を植えている様子。昨年
一年後ご家族と一緒に草刈りをした様子です。2020/8/21