庭は、雨水をゆっくり排水、そして地中に浸透させる場所。

「森は海の恋人」という東北の漁師さんの活動をご存知でしょうか?以前に、中心人物で活動を始めた畠山さんの話を聞く機会がありました。曰く、山に植樹すると、海が豊かになるということですが、そのメカニズムを簡単に紹介させていただきます。

山に落葉樹を植え、それが育つと自然に落ち葉が増えることになります。その落ち葉はやがて腐葉土となります。腐葉土の成分にはフルボ酸という有機酸が含まれるのだそうで、そのフルボ酸に土の中の鉄分がくっつき、それが染み込んだ雨水に溶け込み地中に染み込んで、やがて地中から川や海に流れ込むということでした。その鉄分が植物性プランクトンを養い、そこに魚介類が集まるために川や近海が豊かになるのだそうです。(ちょっとはしょりすぎたでしょうか?笑)

そのメカニズムは何も里山に限ったことではなく、庭や町の中の緑空間にも通じることです。落ち葉を集めて捨てるのではなく、土の上に残しておくということがいかに環境に良い影響を与えるか。そして、落ち葉に加えてもう一つ、忘れてはいけないのが雨水の排水の仕方です。庭に落ちる雨水はできる限り、土に浸透させることと、屋根の排水をいかに有効に使うか。雨水が土に浸透することなくして、上の話は成り立ちません。

そこで、あまがえるがこれからも皆さんに強くお勧めしていこうと思っているのが、雨水排水利用のビオトープ作りです。
終了したての現場を一例としてみていただきたいと思います。

こちらのケースは、元々あった建物とお庭を解体し新築の建物とお庭も新しく作るという事例でした。解体したお庭にあったと思われる庭石を使えるということで、全ての石を盛り込む計画を考えました。

石を配置しながら池のある地形を作っていきます。掘った土を利用して「築山」という盛り上がり部分も作れて、変化のある地形がどんどんできていきます。

 

そして、今回の重要な部分、雨水排水の利用です。これは文字通り、雨樋にパイプをつなげて、池に引っ張っていくだけのことです。(理屈は簡単ですが、さて、うまく流れつかせられるか)

全長8mほどパイプを引っ張って池に繋げました。これで、水の引き込み、つまり池への水の「入り口」はオッケーです。次に考えないといけないのが、「出口」です。雨がたくさん降った時に、あふれないように、オーバーフローした水を敷地のそとの排水溝につなげます。

それが、この川のように見える流れの部分になります。ここにオーバーフローした水が流れ、敷地の外回りに向かって開けられた穴(穴にはパイプを仕込んでいます)から出ていくようになっております。排水溝が、高低差をしっかり取れる深さになっていないととっても難しい話になりますが、ここの敷地周りの溝は深〜〜い溝だったので、うまく出口を作ることも可能になりました。(よかったです)

ここまでの工事によって雨水を引き込んで、溢れさせることなく、排水できるようになりました。次に肝心なのが、池に「水を溜めつつ」、「どこかで浸透させる」という相反する作用が、入り口〜出口まででできるにするということ。

そこで写真のように、今回の場合は池にはシートを使い、流れのそこは砂混じりの土のままにしておくことにしました。これによって、池にはいったん水がしっかりと溜まり、緩い勾配の流れを伝う際に地中にも染み込んでいくだろうと、考えた次第です。

いかがでしたでしょうか?雨水利用のシステムとしての池と流れ。もちろん、池や流れといった水場があれば変化のある風景としても楽しめるし、子供さんの遊び場としても、虫や鳥など生き物がくれば鑑賞池としても使えます。

今後、池があることでいろんな虫や鳥が来ることを期待します。