あまがえるの考え
庭は⼩さな⽣態系
⽇本庭園にあるような池ではなく、ビオトープ(いろんな⽣物が⽣息する空間)としての⼩さな池です。⼩⻄家のこの池は、⾬樋で集めた⾬⽔を、地中に引いたパイプを通して流し込むことで⽣まれました。⼤⾬の時などは池から⽔があふれます。あふれる⽔は、敷地に隣接する⽔路に流れていくように溝を作っているのですが、あふれる⽔のほとんどが⽔路まで⾏かずに溝を通る際に地中に染みていくようなつくりにしています。あまがえるは、庭の役割のひとつを⾬の勢いを緩めることと考えているからです。
この数年、ゲリラ豪⾬、線状降⽔帯などの⾔葉がよく聞かれるようになり、洪⽔の被害を被る地域が増えていますね。⾬が落ちる地⾯がコンクリートやアスファルトで覆われているところでは、⽔は地中に染みていくことなく、どんどん⽤⽔路や側溝へ流れ川に合流し、川はあっという間に増⽔してしまいます。
⾬は、降り落ちたその場所で、まずは植物の表⾯(草や⽊の葉や枝など)でやわらかく受け⽌め、直接⼟に到達させずに、植物の幹や茎などを伝って少しずつ地⾯に染み込ませることができます。⼟に到達しないで植物の表⾯から蒸発する⾬⽔も多く、植物も⽔量のコントロールに⼀役買っているのです。あまがえるは、⾬は降り落ちたその場所でできるだけ植物や⼟の地⾯で受け⽌めること、⾬樋から引いた⾬⽔で池をつくること、草花への⽔やりや外の道具を洗うことに⾬⽔を使うことなど、庭づくりでもできる⽔の循環を形にしていきます。
そしてもちろん⽔だけではなく、草や⽊も、ひとの暮らしとリンクさせながら循環を考えてデザインすることを、あまがえるは⼤切にしています。例えば、⼀本の広葉樹が秋になると落としてくれる落ち葉を集めて、コンポストで堆肥をつくったり、最も簡単な⽅法としては、そのまま⼟の上にかぶせておく(マルチングと⾔います)こと。落ち葉は冬の間、カブトムシやクワガタの幼⾍のお布団になりますし、落ち葉を分解してくれる微⽣物も活発に動いてくれます。堆肥ができたら、庭の⼀⾓に設けた畑にすき込んで野菜を作れば、花の咲く時期にミツバチもやってきて受粉を助けてくれるでしょう。例えばトマトが実ったら、落ち葉のめぐみをもたらしてくれた樹⽊の⽊陰に座って、もぎたてで頬張る幸せも味わえます。
私たち⼈間は、⾃然界のさまざまなものが、お互いに働きあってつくる循環の世界「⽣態系」の⼀員として暮らしています。光、⽔、⾵、⼟。植物や樹⽊、⼩さな⽣き物たち・・・。私たち⼈間も、その良き仲間でいられるように、あまがえるは庭を⼩さな⽣態系と捉えて、お互いの関わりあいや働きあいを健やかに育んでゆけるような庭づくりをめざしています。