庭と近くの⾃然⽣態系をつなぐポイント
1.チョウやトンボなど、⼩さな⾍や⼩さな⿃が⾶来してくれる場所づくり
2.多様で階層的な植栽、⽔辺、草地の配置、エコスタッキング(⽣きものが集まるように葉や草、⽊の枝などを積んだもの)をデザインします。
3.地域の植物を(可能なら種から育てて)植栽します。
4.⽔が地⾯に浸透していく部分を残し、素掘りの溝などを新たにつくります。
ひとの暮らしには、こんなメリットが⽣まれます。
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庭にさまざまな⽣き物がやってくることで、特定の害⾍が発⽣することが抑えられ、薬剤の散布が不要になります。また、⼩さな⾍の死骸やフンは⼟を肥やしてくれ、それらに集まる微⽣物は、さらに植物を元気にしてくれます。
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地域の植物を植えることで、その地域に特徴的に⾒られる⽣き物もやってきやすくなり、⽣き物との出会いを楽しむ機会が増えます。
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⽔が浸透する場所をつくることで、⼟の通気性も良くなり、庭の植物も樹⽊も元気に育ちます。
最後に。
あまがえるが⼤切にしている3つのことのまとめとして、「⾒た⽬のデザインより、⾒えないところを整えることの⼤切さ」についてお伝えしたいと思います。
最初にお伝えした「⽣態系」という⾔葉は、⽇々の暮らしとかけ離れた気がするかもしれませんが、⽣態系は、⽣物多様性基本法(環境省、2008年施⾏)の中で、「⼟、⽔、空気と⽣物(植物と動物)によって構成され、それぞれの相互作⽤で成り⽴っている」と定義されています。その相互作⽤〜関わり合い、助け合い〜は、⾒えにくいところですが、⾷べ物にしても⽔にしても気候の安定にしても、私たちの暮らしは、その⽣態系の恵みに⽀えられていて、その恵みは、世界共通の⾔葉として「⽣態系サービス:Ecosystem services」と呼ばれています。ひとの役に⽴つ機能という意味で「サービス」という⾔葉が使われていますが、私たち⼈間も、恩恵を受けるだけではなく、⽣態系を損なわず守っていくことを考え、実践していかなければ、⾃然と⼈間の健やかな関係は保てなくなってしまいます。
少し⼤きな話になってきましたが、庭も公園も街路樹もマンションの中庭も、「⼩さな⽣態系」です。そして、それは、⿃のように空から離れて⾒ると、その地域の⽣態系の⼀部分になっているように⾒えてくるように思えるのです。
例えば、庭にふった⾬⽔が、健康的で多くのミネラル分を含む⼟に染みていき、その⼟が、やがて川の流れの⼀滴となり、海へ注ぎ、海の⿂に栄養分として取り込まれます。その⿂が、鮭であれば、川を遡り森へ帰り、体内にためておいた、⽔の循環から恵まれた栄養分を、また森の⼟にかえしてくれます。⾃然界では、⽇々、そのような⾒えない循環のドラマが繰り広げられています。なにやら、私たちの暮らしも、まちのあり⽅も、⽣態系の⼤きな循環と、ともにあるような気がしてきませんか?
あまがえるは、庭という、暮らしの中の⾝近な場所を、「⼩さな⽣態系」と捉え、そこが「地域の⽣態系とつながる場所」と考え、そんな庭なら、きっとみなさんの「暮らしのそば」に五感を楽しませてくれる「⾃然の恵み」(=⽣態系サービス)をもたらしてくれるでしょう。そして、そういうお庭との付き合い⽅であれば、庭という空間を⼼⾝ともに「楽」で「楽しく」維持していくことが可能だと思っています。