今のあまがえるは、お庭という空間は、次の三つの役割を持っているのではないかと考えています。
一つは、落ち葉や植物の枯れた部分、虫や小さな生き物の死骸などが分解されてゆく場所。
二つ目は、地域の生き物(植物も鳥も虫も、微生物も)が立ち寄ってくれる場所。
三つ目は、降り方が激しくなってきた雨の勢いを緩める場所。
特に三つ目の役割を担わせるには、どうすれば良いか。
施工事例からご紹介します。
一つ目は、冒頭の写真とこの写真の池です。
共に雨水排水を引き込んでいます。雨樋から落ちてくる雨水を地中のパイプを通して、池に流し込むように作りました。
上の写真はパイプを雨樋から引っ張っているところです。
雨が降ると、池に雨水が流れ込みます。そして、溢れ出てゆく水(オーバーフロー)は、池からつながる小さな「流れ」から出てゆきます。
その先には、例えば、敷地の外周の側溝や雨水ますにつなげるのですが、ほとんどのオーバーフロー水は「流れ」の底から地中に染み込んでいくように
あえて、「流れ」の底は浸透性のある状態にしておきます。
上の写真が、オーバーフロー水を染み込ませる「流れ」です。
大切なのは、「素早く排水させること」ではないと考えています。ゆっくりと地中に染み込ませることが重要だと。
近年では、梅雨や台風の季節の雨の降り方が、とても激しくなってきています。
造園の考え方の一つに、街の緑空間を「グリーンインフラ」にするというものがあります。
激しくなった雨を受け止める場所として、緑の空間、例えば公園や街路樹の植樹帯などを使っていこうという考えです。
京都の枯山水などは、古くは、京の街に洪水があった際に、一旦そこが水の逃げ場所、ためておく場所になったという説があります。
京都の学問の世界では、「雨庭」と呼んでいる様です。
枯れ流れや枯れ池に水を一時的にためて、洪水になるのを緩和するという効果だけでなく、
植物そのものにが持つ
雨水の量を和らげる効果があるそうです。
森の効果がそれにあたります。木々が茂っている場所では、
たくさんの枝葉が雨を遮断し、そこから蒸発する雨水もあるので、
雨水が地面に届く量を和らげます。また、一旦葉っぱで受け止めた水は、幹などをゆっくりと伝って
地中に染み込む和らげる効果もあるということです。
お庭に池を作ることは、グリーンインフラの役割をお庭にも持たせられるし、
植物を元気に育てることにもつながり、もちろん生き物が住める場所にもなります。
当然、変化に富む風景づくりにもなりますので、まさにいいことづくめです。
上の写真は、イネを植えてミニ田んぼとしても使っており、収穫も楽しめる空間にもなっています。
この様な池を作るのがちょっと難しい場合なら、次の様に、水鉢を利用するのもいいかと思います。
カーポートの屋根やテラスの屋根の問いにつなげることなら、意外にやり始めやすいかも。
これもオーバーフロー水を受け止める小さな流れを作ることをすれば、やはり同じ効果が望めます。
今後のお庭作りの一つの選択肢に検討してみてくださいませ!