完成後の様子です。溝は素堀のままで残しています。

通路部分は、ヒノキやスギを製材したときに生じるバーク(樹皮)をしいており、家際には川砂利を敷きました。畑の周りの平たいところは、野芝をしいています。

コンクリートや土を固めると雑草も押さえられ土がじゅくじゅくすることもなくなりますが、表面の水を排水するだけでは、敷地内はコンクリートの砂漠のように夏は乾燥して地面も高熱になりますし、冬も寒々強い景色。畑も生き生きとした空間とは到底いえない、むしろあまり出たくない空間になりそうです。


土には水が浸透し、それがうまく抜ければ、植物が生き生きと育ちます。植物が育てば、根から水を吸い上げて蒸散することと、植物自体が雨を受けて土に到達するまでに植物の表面から直接蒸発する水もあり、敷地の水分調節をしてくれます。芝生には雑草も侵入してくるでしょうけれども、なにもゴルフ場のように芝だけのグランドカバーでなくても、野原のようにいろいろ生えていても

楽しい風景になると考えればよいのではないでしょうか。


また、芝生も草も先ほどの理由で、敷地の水分調節に一役買ってくれるでしょうし、肥えた土を少しずつ作ってもくれます。溝は、表層の水分の抜けをよくしてくれると思いますので、芝も溝がないよりはよく育つと思われるので、ひょっとしたら草もそんなには入ってこないかもしれませんが、はいってきても「戦わないこと」があまがえるのすすめです。


以上ザッとですが、コンクリートで固めないで植物の力を借りて敷地を快適にする提案をさせていただきました。この案をうけいれてくださった、お客様の勇気ある決断に大いに感謝したいとおもいます。ありがとうございました。               (あまがえる)

こちらが施工前の下見の段階。

この土の部分をできるだけ少なくしたいとのことでしたが、「待ってください!私たちは、まちの緑と土を育てて、まちの中に杜を作りたいと考えております!」とコンセプトを説明し、わたくしどもとしては、このように考えていますということをプランにして説明させていただきましたところ、その案を本当に快く採用してくださいました。コンクリートで覆うではなくどんな風になったのか?

まずは、畑の周りを囲んでいた、ブロックを外します。

そうすると、右の写真!これは、畑のそばに植わっているモチの根っこです。

ブロックの隙間から畑の方に根っこが入っていき太く、そして平たーくそだっていました。

ブロック一段のしきりでも、植物にとっては成長の妨げになる可能性があるということです。

この場合はブロックの隙間があったので、うまく根っこものびることができています。

次に敷地の周囲のラインや畑の外周ラインに溝を作ってゆきます。この敷地に限らず、造成地の敷地は元々あった山の腐葉土層をはぎとって、そのしたの固い底の土のうえにできています。

表面は真砂土で覆われているだけで、水の通りが非常に悪くなっています。

今回jのご希望であった、表面をコンクリートで覆うことは、雑草対策とともに、雨の際にじゅくじゅくするのが気になるということもありました。コンクリを打って土を覆うのではなく、私たちは土の中に水がしみ込みやすくなるように素堀の溝を作ることを提案しました。

溝には、そこに木炭を砕いたものを先にまき、竹で土留めをほどこして、さらに木の枝を投入。木の枝には土留めと土を漉す役目をしてもらっています。

縦に突き刺さっている、竹の部分は溝よりも深く掘った縦穴。

溝の底から水がしみ込んでいきやすくなる働きを持っています。


土に穴を掘ったときに、穴に水がしみ出てくることを経験されている方にはわかりやすいかと思いますが、落差をつけてやると、水が低いところにしみ出てくることを利用しています。